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ブログ管理人のまさぴよです



ミドルクラスのアドベンチャーバイク、ホンダ・XⅬ750 トランザルプと、スズキ・V-Strom 800DEを比較していくよ!
モデルの比較
2023年、日本のバイク市場に新たな風を吹き込んだ2台のミドルクラスアドベンチャーバイク、ホンダ XL750トランザルプとスズキ V-Strom 800DE。かつてのアドベンチャーツーリングブームを牽引した名車の名を冠するトランザルプと、全く新しいプラットフォームで登場したV-Strom 800DEは、それぞれ異なるアプローチでライダーの冒険心を刺激します。
コンセプトと歴史:伝統か、革新か
ホンダ XL750トランザルプは、1980年代から愛されてきた「トランザルプ」の名を復活させたモデルです。そのコンセプトは、「Daily commuter and tourer, sometimes adventure traveler」(日常のコミューターであり、ツーリングもこなす、時には冒険旅行者)。
扱いやすさを重視し、舗装路での快適な走行性能と、未舗装路でも楽しめる走破性を両立させています。長距離ツーリングでの疲労軽減に配慮した設計は、まさにトランザルプの伝統を受け継ぐものです。
一方、スズキ V-Strom 800DEは、V-Stromシリーズの最新モデルでありながら、GSX-8Sと共通のエンジン・車体プラットフォームをベースに全く新しく開発されました。コンセプトは「アドベンチャーモデルのあるべき姿を追求した新世代アドベンチャーツアラー」。
オフロード性能を強く意識した設計が特徴で、砂利道やダートでの走破性を高めるべく、前後21インチ/17インチのホイールサイズを採用し、ストローク量の長いサスペンションを備えています。
パワートレイン:並列2気筒の個性
両車はともに、全く新しい設計の並列2気筒エンジンを搭載しています。しかし、そのキャラクターは大きく異なります。
- ホンダ XL750トランザルプ:754ccユニカム4バルブ並列2気筒
- 最高出力:67.5kW(91.8PS)/9,500rpm
- 最大トルク:75.0Nm(7.6kgf・m)/7,250rpm
- ホンダが新開発した「ユニカム4バルブ」は、低回転域から力強く、中高回転域までスムーズに吹け上がるのが特徴。日常の街乗りから高速道路の追い越しまで、ストレスなくこなせる扱いやすさが魅力です。270度クランクを採用し、Vツインのような鼓動感も楽しめます。
- スズキ V-Strom 800DE:775ccSOHC4バルブ並列2気筒
- 最高出力:61.0kW(83PS)/8,500rpm
- 最大トルク:76.0Nm(7.7kgf・m)/6,800rpm
- スズキ独自の「スズキクロスバランサー」を搭載した新世代エンジン。トルクを重視したセッティングで、低回転域から分厚いトルクを発生させます。特にオフロード走行での粘り強さは特筆ものです。Vツインエンジンのような鼓動感を演出しつつ、並列2気筒ならではのスムーズさも兼ね備えています。
出力のトランザルプ、トルクのV-Strom 800DEといった対照的なキャラクターは、それぞれの設計思想を色濃く反映しています。
足回り・車体:オンロードか、オフロードか
両車のキャラクターの違いは、足回りや車体構成に最も顕著に現れています。
- ホンダ XL750トランザルプ
- フロントタイヤ:90/90-21、リアタイヤ:150/70R18
- サスペンションストローク:フロント200mm、リア190mm
- シート高:850mm
- 車重:208kg
- タイヤはオンロードでのグリップを重視したメッツラー「KAROO Street」を標準装備。サスペンションはしなやかで、アスファルト路面での快適性と安定性を高めています。前後21/18インチのホイールは、オフロードでの走破性も確保しつつ、オンロードでの安定したハンドリングにも寄与します。
- スズキ V-Strom 800DE
- フロントタイヤ:90/90-21、リアタイヤ:150/70R17
- サスペンションストローク:前後220mm
- シート高:855mm
- 車重:230kg
- 本格的なオフロードタイヤであるダンロップ「TRAILMAX MIXTOUR」を標準装備。ストローク量が長いサスペンションは、悪路での走破性を高めます。シート高はトランザルプよりわずかに高く、最低地上高も高めに設定されています。
トランザルプがオンロードでの快適性を重視しているのに対し、V-Strom 800DEはより本格的なオフロード走行を視野に入れた設計です。車重の差は22kgと大きく、取り回しや押し歩き時にはトランザルプの軽快さが際立ちます。
電子制御・装備:ライディングをサポートする先進技術
両車ともに、最新の電子制御システムを搭載し、安全で快適なライディングをサポートします。
- ホンダ XL750トランザルプ
- HSTC(Honda Selectable Torque Control):トラクションコントロール
- ABS(2段階調整可能)
- ライディングモード:SPORT、STANDARD、RAIN、GRAVEL、USER(任意設定)
- 5インチTFTフルカラーメーター
- ETC2.0車載器を標準装備
- スズキ V-Strom 800DE
- S.I.R.S.(Suzuki Intelligent Ride System):ライディングモード(3段階)、トラクションコントロール(4段階、Gモード搭載)
- ABS(2段階調整可能)
- 5インチTFTフルカラーメーター
- アップ/ダウン対応のクイックシフターを標準装備
特筆すべきは、V-Strom 800DEがクイックシフターを標準装備している点です。これは、ツーリング時の疲労軽減やスポーティな走りを楽しむ上で大きなアドバンテージとなります。また、V-Strom 800DEのトラクションコントロールには、未舗装路でリアタイヤをスライドさせながら走ることを許容する「Gモード」が搭載されており、オフロード性能へのこだわりが感じられます。
ホンダ XL750トランザルプとスズキ V-Strom 800DEのスペック比較
項目 | ホンダ XL750 トランザルプ | スズキ V-Strom 800DE |
全長 | 2,325mm | 2,345mm |
全幅 | 840mm | 975mm |
全高 | 1,455mm | 1,310mm |
軸距 | 1,560mm | 1,570mm |
シート高 | 850mm | 855mm |
車両重量 | 210kg | 230kg |
エンジン種類 | 水冷4ストロークOHC4バルブ 直列2気筒 | 水冷4ストロークDOHC4バルブ 並列2気筒 |
総排気量 | 754cc | 775cc |
最高出力 | 67kW (91PS) / 9,500rpm | 60kW (82PS) / 8,500rpm |
最大トルク | 75Nm (7.6kgf・m) / 7,250rpm | 76Nm (7.7kgf・m) / 6,800rpm |
燃料タンク容量 | 16L | 20L |
タイヤサイズ | フロント:90/90-21M/C リア:150/70R18M/C | フロント:90/90-21M/C リア:150/70R17M/C |
サスペンション | フロント:200mm リア:190mm | フロント:220mm<br>リア:220mm |
最低地上高 | 210mm | 220mm |
燃料消費率 | 22.0km/L (WMTCモード) | 22.6km/L (WMTCモード) |
価格 (税込) | 1,320,000円 | 1,364,000円 |
クイックシフター | 別売 | 標準装備 |
ETC | 標準装備 (2.0) | 標準装備 (2.0) |
注記:ここに記載されているスペックは、日本国内仕様のデータに基づいています。価格はメーカー希望小売価格であり、販売店によって異なる場合があります。
まとめ
ホンダ XL750トランザルプとスズキ V-Strom 800DEは、同じミドルクラスアドベンチャーというカテゴリーに属しながら、その性格は全く異なります。
**ホンダ XL750トランザルプは「オールラウンダー」**です。日常の街乗りから長距離ツーリング、そして時には未舗装路も走破できる、バランスの取れた一台と言えるでしょう。軽量な車体と扱いやすいエンジンは、初心者からベテランまで、幅広い層のライダーに受け入れられるでしょう。快適なオンロードツーリングをメインに、時々アドベンチャー気分を味わいたいライダーに最適な選択肢です。
**スズキ V-Strom 800DEは「オフロード志向のアドベンチャー」**です。そのタフな外観と本格的な足回りは、舗装路から外れた道への誘いを強く感じさせます。未舗装路や林道ツーリングを積極的に楽しみたいライダー、よりワイルドな冒険を求めるライダーに強く響くでしょう。クイックシフターやGモードといった装備は、このバイクが単なるツアラーではなく、オフロードでの走りを追求していることを物語っています。
どちらのバイクを選ぶかは、ライダー自身の求めるバイクライフによって決まります。快適なツーリングと汎用性を求めるならトランザルプ、より本格的なオフロードアドベンチャーを求めるならV-Strom 800DEが、それぞれ最高の相棒となるでしょう。
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